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赤石山脈 西側稜線二泊三日のテント泊縦走

公開日2013年7月23日    カテゴリ登山

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ルートはどう選ぶか?
限られた時間と体力の中で登山をする上で、悩ましい問題の一つです。

今回、7月の三連休の一日前に有給を取って、二泊三日。この日程で、南アルプスの南部を行くには、いくつかのルートが候補に上がった。
ある程度効率よく行って聖、赤石、荒川という南アルプスを代表する三山の頂を極めるか、もしくはそのうちの二座にしぼるか、また、その三座に加え上河内岳、茶臼岳というちょっと脚を伸ばせば行ける名山も含めるか。

mapしかしながら今回は、混雑を避けるためわざわざ三連休の一日前に乗り込み、4連休とした訳だから、最悪三泊四日にしてでも、存分に楽しみたいと思った訳であります。

が、そこは時間もそうですが、体力ともじっくり相談して、結局二日目の行程次第でどうするか決めよう、ただ聖、赤石、荒川は絶対行こうと事前に決めました。
この山域、山深いだけあってエスケープできるルートが限られる、一つは赤石岳からの下り、一つは聖岳からの聖沢に降りるルート。ある程度進んでしまうと、来た道を引き返す、、、という訳にもいきません。この二つのエスケープルートにさしかかる時に決断しなければなりません。

 

高速を降りて3時間。実に長い下道を夜も明けないうちから走り、朝5時頃駐車場に到着。ここで8時まで待って東海フォレストの送迎バスで椹島(さわらじま)に。

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かつて、林業に携わる厳つい男たちで賑わったこの地も、今や南アルプス縦走の基地として、派手な服装に身を包んだ登山者に様変わり。この日は三連休前だったので、バス一台で間に合いました。

スタート直後、林道を歩き、そして大橋の手前、一見見落としてしまいそうな道標を目印にして、いよいよ登山道に入ります。
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前半は傾斜もそこそこに体ならし程度の緩やかな道が続きます

 

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下山時にもよく見かけた吊り橋。

橋の上から見下ろす。IMG_7083

 

あまりの高さに身がすくむ。しっかり張られたワイヤーにいささかの不安も無いはずだが、やはり一歩歩くのに躊躇する。

所々に景勝説明板が掛けてあったり、現在の位置を知らせてくれる案内があったりと、さすがに発展的な登山の主役に位置する南アルプスだけあるなと関心します。

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この日は快晴。歩くこと三時間ほどで、赤石岳から見下ろされます。

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明日の今頃はあそこに・・・!と決意を新たにします。

緑深い山肌を縫うように、少しずつ急斜面を登っていきます。

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かなりの暑さで汗が滴り落ちますが、時々吹き抜ける風が心地よく、汗とともに疲労感も抜けていきます。

 

この小石下から清水平まで、地図上では傾斜が緩やかになっていて、一息つけます。

 

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清水平で水分と英気を補給して、ここから先の容赦ない急坂に備えます。

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かつて、伐採した木を運搬するために使われていた木馬道。

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今に名残を残し、現在では登山道としてまっすぐな坂が残っています。

地図にある見晴し台までつくと、今日の宿泊地千枚小屋までもう少し。明日歩く稜線もはっきり空との境界を成していました。

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千枚小屋直下の駒鳥池までくるころには、脚が棒に。なにしろここまで標高差1200m。千枚小屋までだと1400mとテント装備者にとっては過酷な山行です。

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少し横になって休もうと思いましたが、ブヨの大群にたかられては安眠もほど遠い。小屋についてから休もう。IMG_7120

 

 

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ようやく千枚小屋に到着。机上の計画では、ここから3時間先の中岳避難小屋まで行く行程も計画したことがあったが、とんでもない計画だ。


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小屋から見える富士山に癒されつつ、長い旅と暑さの疲れを癒すべくテントに潜り込んだ。明日は2時出発だ。IMG_7130

 

 

 

 

 

 

翌朝2時出発予定が、2時半にテント場を出発。今回の山行計画を左右する二日目。
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希望は兎岳避難小屋まで行きたいが、行程が14時間を超えます。体力尽きれば途中の百軒洞山の家に泊まろうと、柔軟に計画を変更しようと思ってました。

 

ところが、小屋から1時間ほどの千枚岳に着く頃、とんでもない強風が!

 

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ご来光を見ようと三脚を構えましたが、風で三脚がぶれる始末。

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美しい夜明けは見れましたが、写真ではいまいち。記憶に残ればいいや、という気持ちでここまで背負ってきたカメラのシャッターを切ります。

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とにかく寒かった!風のせいで。IMG_7173

 

向かう赤石岳は雲の中。今日の11時頃あそこにいる予定です。それまでに雲は無くなってるだろうと楽観していましたが、結局この白い勢力は、このあと、強さを増して私に襲いかかることになるのでした。

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悪沢に向かう途中。素晴らしい景色です。稜線上の小屋なら、寝起きで見られるのですが、たいていの山小屋は風や雪を避けるため少し下ったところにあり、ご来光を見ようとするならとんでもない早起きと夜中の強行軍を強いられるのです。

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荒川岳に着く頃にはガスで景色も見えず。。。


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それでも時折、雲の隙間から山裾をみることはできました。


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中岳・前岳と荒川三山をすべて通過。特にアップダウンもなく三山を制覇しました。

その後荒川小屋に向けて一旦カールの中を下ります。

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荒川小屋はこの日がオープン日。にもかかわらず途中すれ違う人もいて、一体この人たちはどこから来たのだろうと考えれば考えるほど不思議でした。

山馴れてれば、「どちらから来ました?」なんて気軽に声をかけられるんでしょうが、まだ自分にはできません。山馴れる、というより人としての資質の問題なんでしょうが・・・
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雪渓がでてきました。ここの雪渓は兎岳〜聖岳間の登り返しに次いで難所とみていたのですが、持参したアイゼンを出すまでもなく、つぼ足でいけました。

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小屋番の方が事前にステップを切ってくださったお陰です。

 

大聖寺平に到着。

中岳避難小屋のご主人から大聖寺平の突風はすごい、と言われていたので警戒してました。

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が、そもそも今日は全体的に大暴風雨。特別ここだけ強いという訳ではありません。

ここを過ぎるといよいよ赤石岳への登りが開始されます。単調なザレ場の登りで、短いステップでゆっくり進む戦法で進みます。

先日の谷川岳の茂倉岳への登り返しを彷彿とさせるような登りです。

 

 

 

 

 

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ようやく赤石岳に到着。昨日とうってかわり、すっぽり雲に包まれていました。


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残念ながら山頂からの景色は次回にお預けのようです。

 

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赤石岳避難小屋でしばらく休憩。小屋の方が、暖かいお茶を出してくれました。気付いたら髪の毛は凍らんばからに冷えてました。

小屋の方や、他の登山者の方としばし談笑。そのうちのお一方で、私と同じ千枚から来た登山者はこのあと百軒洞まで行く予定だったが、この天候なので、ここで下山されました。

このあとエスケープルートが無いので、ここが決断所でした。が、私は、先に進みました。なぜなら、昨日と違い、体力が相当温存されているから。立ち寄った小屋で長く休憩を取ったり炭酸飲料飲んで糖分補給したからでしょうか?

 

が、勢い勇んで小屋を出て、すぐ雪渓にぶちあたり、おまけに道が分からない。

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うろうろしてると後続の方に「こっちだよー!」って声を掛けてもらいました。
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このあたりで雨まで降り出して、いよいよ過酷になってきましたが、不思議と、テンポよく進むことができました。

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南アルプスらしく、百花繚乱。地図上のお花畑マークは期待を裏切ることはありませんでした

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そして、1時前後に百軒洞山の家に到着。

 


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雨もやんで、ここから先3時間の行程も十分に耐えられると判断。この谷間の素晴らしく情緒的な山小屋を後にしました。

 

小屋を出てもペースを乱すこと無く、むしろゆっくりぐらいのペースでのぼります。大沢岳のトラバースルートにも関わらず、かなり急な道を登ります。

 

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再び稜線に飛び出した時には風もそこそこに景色をみることができました。

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が、ここから中盛丸山→小兎岳→兎岳と3つのピークを行くことになり、当然激しいアップダウンがあります。IMG_7299

しかも中盛丸山を超えた辺りで、雨がぽつぽつと。すぐに止むだろうと訳の分からない勝手な判断で、レインは上だけ。ズボンとザックカバーをせずにそのまま進む。

ますます雲が厚くなり、この寂しい小兎岳の山頂に着く頃には気分も疲労感の方が勝ってきました。

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もうあとちょとの行程にも関わらず、何十時間にも感じられるぐらい、とにかく前に進んでる気がしない。

体力はまだ十分にあるはずなのに、気力で負け始めてる!スタートから14時間。14時間登山をするというのはこういうことなんだと身を以て知りました。

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いままでなんなく乗り越えてきた南アルプスのザレ場もここに来て、大変な難所に。

 

 

 

 


ようやく最後の兎岳に。聖岳の前衛峰程度で、あまり登山家でも注目されないピークですが、ここに到着するまでキツかった!という思いで深く印象に残った山でした。

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さて、山頂直下にある兎岳避難小屋に向かいました。ここは、どこから行くにも中途半端な距離にあり、私のような長距離を移動しない限り、まずはここは素通りされると思ってました。

しかもこの天気。間違いなく一人だろうと思ってましたが、すでに二人の先客。しかもその一時間後にさらに一人と、合計4名。今日の天気といい、予想外が重なるものです。

ザックカバーとレインズボンを履かなかったため、ザックの中は少し湿気がちになり、フリースは着るには気持ち悪い、替えのシャツも濡れてました。雨が降ったらすぐに防雨対策すること。

 

小屋では、「こんな天気でよく来たな。ん?千枚からだって?結構歩いたね!お祝いにこれやるよ!」とカップラーメンいただいたその方は5、6年前冬、吾妻連峰で12日間遭難して生還し、マスコミなんかでも「奇跡の生還」として報道された中村さんでした。

登山での遭難は賛否ありますが、本人の「絶対下山する、下山できる」という強い意志が生還に結びついたという話はやはり感動的でした。ちまたでよく起きる遭難に対し、無謀な登山だ、などとひとくくりに断罪するのはおかしいと思います。もちろんそういう人もいますが・・・

 

よく朝、最終日。二日目に兎岳まで来れたことから、もう一泊しなくてすみそうです。

朝、少し雨が降っていましたがすぐに止みました。夜は満点の星だったようです。そうとは知らず、折角三脚まで持ってきたのに星空を撮影することはできませんでした

夜が明けるにつれ、昨日の兎岳の全景を見ることができました

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聖岳への登り。それほどきつくはなかったような。


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山頂近くになると傾斜も弱まり、なだらかな登りになります。

避難小屋でご一緒させていただいた方とともに登り始めましたが、話しながら登っていたせいもありあっという間に山頂に。

 

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その後予定にはありませんでしたが、奥聖岳にも行きました。


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聖岳を下ります。写真のように結構急なザレ場です。兎〜聖岳間は兎方面から攻める方が楽、というのは本当のようです。

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聖岳の山腹。岩から神々しくも水が噴き出していました。

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1時間の下りの末、小聖岳に。

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その後、同行の方と別れ、聖平小屋に。朝ご飯を食べ、バスの時間を確認するために立ち寄りました。

というのも体力的に、ここから下山しようと思ってました。が、ここから下山すると3時間の林道歩きが待ってます。それは避けたいのでバスで帰ろうと考えてました。

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結果的に、バスは予約制で乗れない。おまけに山小屋宿泊者だけしか利用できないという...

こうなっては進むよりほかありません。こんなことなら別れずに一緒に上河内岳を目指せば良かった・・・

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樹林帯をあっさりぬけると、すぐに森林限界に到達。再び山登り。

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とはいえ、もう駐車場までなので、時間を気にせず行きます。

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イワカガミ。武尊では見られなかったのにここではまだ咲いてます。

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これはクロユリでしょうか?

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南岳の縦走路。ハイマツに隠れますが、登山道はしっかりしています。


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そういえばこんな天気なのに雷鳥に会えませんでした。。

 

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上河内岳からの下山にくると、平らな稜線歩き。ここも雲がなければどんなにいい眺めでしょう

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中世ヨーロッパのような景色。上河内〜茶臼間は庭園のような美しい景色が広がります。

 

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最後の峰、茶臼岳。ザックをデポして山頂に取りかかりました

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光岳がぎりぎり見えました。途中まで一緒に登った方とは1時間ほどの開きがあるので見ることはできませんでした。光岳に行くと行ってました。

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茶臼岳避難小屋。ここからは長い下山。

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初めてのテントを担いでの2泊登山。トラバースの多い道に助けられ、それほど肉体的疲労感は感じませんでしたが、精神面で堪えました。

綿密に計画したつもりでも、所詮、机上の空論。小兎〜兎岳間では、本当に弱い精神面を見せつけられました。

一方、自分が試されてるという、登山の面白さ奥深さも感じることができた山行ではなかったのではないでしょうか