公開日2013年6月14日 カテゴリ登山
今年は空梅雨だそうで。しかし里では晴れていても山では雨模様なことはよくあること。今週始めに行った谷川岳も梅雨の雨日と雨日の間に生まれた貴重な晴日を利用して行ってきました。
前日、前々日は雨だったので道のぬかるみが心配されましたが、しっかり干上がっていました。aaa
とはいえ、出発時には手元の温度計で10℃前後。日差しは出ているものの寒さが冬の様相。ユニクロのフリースを着ての出発となりました。
今回は土合橋を出発し、白毛門→笠ケ岳→朝日岳→清水峠(泊)。二日目は清水峠→蓬峠→武能岳→茂倉岳→一の倉→オキ・トマの耳→下山という行程です。
このルートは、谷川岳をぐるっと廻るコースの形が馬の蹄の様だから馬蹄形縦走といわれ、ハイカーの間では有名なコースです。
今山行の目的は山のピークを目指すいつもの山行と違って(結果的に色々踏んでますが)初めてのテント泊を経験すること。
色々な不可抗力が想定されるので、通常のテント泊装備だけでなく、食料・水は多め、虫除け対策、防寒服、寝れない時用の本等々・・重量は相当なものになりました。
さて、そんな「超重量」状態で、いきなり平均斜度18°という谷川屈指の急登、白毛門の登りが始まります
この日に備え、日帰りできる山でもテント泊装備を担いでの予行演習を繰り返しました。が、今日はいつもよりさらに重い上に、これほどの本格的な傾斜では練習してこなかったため、開始20分で汗だく。先ほど着たフリースは早々にザック内へ退場。
目指す白毛門はまだ遠く、容赦なく続く坂にへこたれそうになりながらも、時折見せる谷川の自然に癒されます。
他の山ではあまり見かけませんが、現在の標高が100m単位で表示してあります。
スタート地点が標高700mだったので、ここまでで500mも登ってきました!
が、白毛門は1700m地点・・・まだここは中間地点です。
普段行く山だと、標高差500m上がるには2、3時間かかりますが、ここの場合1時間ほど。いかに急かが分かります。
登り始めること2時間ほどすると急に視界が開けます。そうすると谷川の岩陵が姿を現します。谷川岳は標高の割に森林限界が低く、アルプスのような大展望が臨めます。
白毛門途中の松の木沢の頭にて。
今まで樹林帯だったので気分も滅入りがちでしたが、景色を見ながらなら気も晴れるだろうと思いきや、ここからは直射日光の雨にさらされ、さらに過酷な登山に。
樹に守られながら登っていたので気付かなかったのですが、気温がかなり高い。25℃を超えてました。
アルプスだとカラッとしていて、それでいて冷たい吹上の風が舞うのでそれほど暑さは感じないのですが、ここはジリジリ皮膚を焼くような暑さと、前日までの湿気が襲います 。
スタートから3時間ほどで白毛門に到着。
一の倉とオキ・トマノ耳が目の前によく見えます。明日にはあそこにいる予定ですが、あまりの距離感の遠さに想像できません。
多くの登山者の命を飲み込んだ一の倉の岩陵。
白毛門の急坂が、今回最大のポイントだと思ってたので、到達できて少しホッとしました。しかも想定時間よりも僅かに早かった。
この装備で通常通り登れてれば大丈夫と少し自信になりました。
景色は最高にきれいで、この晴天。言うこと無いですね
次のピークの笠ケ岳山頂もよく見えます。
今年登った山ではお花が見れませんでしたが、ここではたくさん見れます。
あとで調べようと、たくさん撮ってきました。
花も低い山だと笹に飲み込まれてしまってるのですが、ここではたくましく自生し、可憐な花を咲かせています。
1時間ほどで笠ケ岳に到着。このころからすれ違う人に「馬蹄ですか?」と訊かれるように。
やはりここでこういう装備を見ると、馬蹄以外ないですし、私以外でテント泊など重装備な感じの人はいません。
山頂で休憩してる間も、そういう話を他のハイカーさんとしてました。ほとんどの人は、この先の300名山朝日岳に登らずここで引き返すようです。
お気に入りのドトールのパイナップル缶詰でエネルギーを補給し、今日最後のピーク朝日岳を目指します。眺めがいいので登山道がよく見えますが、朝日岳までは登ったり下ったりの連続のようです。体力が保つか心配になってきました。。。
地図上では1時間15分とあり、時間的に余裕があるので、もうゆっくり行くことにします。それこそ2時間かけるつもりで
途中で見た花。イワイチョウという花でしょうか?
二登り三登りした頃でしょうか、山頂が見えてきました。
写真だと分かりませんが、山頂の標識も見えます。あとちょっと!
2時間かけるつもりが結局コースタイム通りで300名山朝日岳山頂に到着。
この辺りで○○名山と言われるのは、オキ・トマの100名山、仙ノ倉山の200名山、そしてこの朝日岳。大源太山とか茂倉岳なんてかっこよくていい山なんですけどね。
だれもいない山頂でゆっくり時間を過ごします。
朝日岳は朝日が原という湿原があって、水をたたえるととても美しい景色が広がるようです。
今はまだ残雪が覆っています。一部で池塘も見えました。
朝日岳山頂から少し行った所にある「ジャンクションピーク」と呼ばれる巻機山へと続く分岐。右奥の笹の中がその道なのですが、踏み後が極端に薄く、そこに道があることは確認できませんでした。
上越国境の難路として一部のマニアには有名な道のようです。当然この先何十キロと小屋はおろか補給箇所はありません。よほどの経験と覚悟がないとこの先は踏み入れては行けない領域です。
ジャンクションピークを過ぎると、今回の幕営地である清水峠までどんどん下るだけ。
笠が岳以降全く人に合わなかったし、その先にも人の気配がないので、今日は一人なんだろうなとか考えていたら...道を間違えてしまいました。
どんどん下って行くのは良いのですが、この雪渓も下まで行ってしまったものの、行き止まり。。
左の方に明らかな踏み後があるので、周りを見ること無くその足跡をたどって失敗してしまいました。
あとで分かったのですが、ここは残雪期には間違えやすい箇所のようです。その足跡も、下まで行って引き返した時のものなのかもしれません
無駄な体力を使いつつも、2:40頃清水峠に到着。
この装備をかついで、登ったり下ったり・・・おまけに標高際1200mを行った訳ですから、我ながらたいしたもんです。
着いて早々荷物を放り出し、しばし放心。気持ちのよい芝生と鳥のさえずり声が今までの苦労を忘れさせてくれます。
登山をして最高の瞬間ですね
夕暮れになる前にテントを張ることに 。事前に練習してきたので、問題無し。
しかし、到着しても、ここは避難小屋があるだけで、いつものような売店は無し。無性にコーラが飲みたくなった!
もう頭の中はコーラ飲みたい、で頭がいっぱいです。 あとはフルーツ缶詰一つしか甘味がないので、これを明日にするか今食べるか。
ここから2時間行った所にある蓬ヒュッテまで行けばなにかありそうですが、片道二時間かけてジュースを買いに行くわけにいかず。。。あぁ下界はなんと恵まれてることか!
結局、この日は我慢するしかありませんでした
そしてもう一つ問題が。それは水の問題。
途中すれ違いの人が「清水峠の水場は枯れてるよ」と言われ、水を節約したのですが、それでもこの暑さでハイドレーション内の2Lはすでに尽きかけ、残り500MLペットボトル2本の1L分のみ。煮炊きしなければ大丈夫だけど、ご飯を食べない訳にもいかないし。
ただ、雪渓が近く(といっても片道10分)あるので雪を溶かして煮炊き用に使うことは可能なはず。
あまり要領がわからないまま、コッヘルとポリパックをもって雪をかき集めるも、残雪なので土、小さな木片等が混じります。
しかも口の小さいポリパックに詰めるのは至難の技。早々に諦めました。
実は、近くにJRの監視小屋の人が使う水場があることを事前にネットで調べていたので、急遽それを探すことに。
当然、そのような公共のものでないものは地図に載ってないので、ネットの情報をたよりに探します。
監視小屋から蓬ヒュッテに向かう途中に、左に折れる謎の道があり、その先に行ききると立派な水場があるらしい。
が、道は見つけられたものの雪渓に阻まれ先に進めず。急遽引き返してアイゼンをもってくることに。
今回の登山で持って行こうか置いて行こうか悩んだものの一つがアイゼンでした。
事前に調べると雪渓残るもそれほど長い歩きではなく、みなノーアイゼンで大丈夫みたいなことを見たので、このかさばるものを置いてこうと思いましたが、結果的に今回の馬蹄型縦走で最も活躍することになりました。
さっそくアイゼン装着してどんどん深く入って行きました。途中、夏道になったり再び残雪になったりと、アイゼンを何度もつけ直しました。
が、結局6時を回った所で日も暮れ始めたので帰ることにしました。意外と遠い。というか雪に埋まってしまって通り過ぎたのかもしれません
幸い、行きすがら見つけた沢で水を汲むことができました。
生水を飲むのはあまり好きではありませんが、これがなんと旨いことか!なんとか翌日の水、煮炊き用の水を確保できました。
帰ってくると既にあたりは暗くなり、
そして初めてのテント泊、そして天気予報によれば今夜は晴れ。しかも新月。満点の星が期待できます。そのために重い荷物の中から三脚は外せませんでしたし、テント泊を始めた動機もそれです。山小屋泊だと他の客の迷惑になりかねませんからね。
しかし7時過ぎから風が強くなり、瞬く間にテントをバタバタ揺らすほどの強風に変わった。
しかも、谷川岳方面からどんどん雲が流れてきて、もう星空鑑賞会どころではありません。
しかたなく、テントの中で朝を待つことに。風のためテントがうるさくて眠れませんでした。これに雨が加わらなかっただけまだまし。
星空は次回にお預け。せめて日の出だけでも、と朝3時に起きて準備にかかりましたが、依然風は強く、雲も低く立ちこめてました
もう、これにはがっかり。
することも無いので早々に出発します
2日目がスタート。
まずは七ツ石小屋山を経由して、蓬ヒュッテに向かいます。
出だしの急坂を登りきると、先ほどまでの避難小屋は小さくなっていきました。
七ツ石小屋までは簡単な道、、かと思いきや、スキー場の上級者コース並みの雪面の急坂。しかも踏み後が無いのでどこまで登っていいか分かりません。
大体の方向を定めて登って行くしかありません。他には道はないのですから。
昨日の水探しで使い、もう使うことは無いだろうと思っていたら、早速ここで使用。この後も何度となく使うことになります。
雪面に10本爪アイゼンの先爪を食い込ませながら登って行きます。
少し登った所で道がまた見えてきたのでようやく通常の道に復帰しました。
七ツ石小屋山に到着。本来ならここでご来光を見る予定でしたが、かなわず。
そこからは幻想的な笹道を行きます。おそらく太古から変わることの無い道を同じく変わらぬ景色を見ながら蓬ヒュッテを目指します。